板垣恵介の激闘達人烈伝 ＃4747

板垣恵介の激闘達人烈伝 (徳間文庫) 板垣 恵介 徳間書店 このアイテムの詳細を見る

板垣恵介の格闘士烈伝(グラップラー) 板垣 恵介 徳間書店 このアイテムの詳細を見る

板垣さんの本は二冊あるわけなんだけど、手技関係者としては注目すべきはやはり「達人列伝」であろう。
僕は格闘技が手技の世界で役立つという意見には懐疑的なんだけど（あ、問題発言？）、この本に出てくる達人たちの修練内容には着目して、もしかして・・と思わざるを得ないなぁ。

中村日出夫さんの、手足を石などに本気で打ちつけて、骨が見えるほどの打撃を与える事で作り上げられる文字どおり鋼鉄の「生身」。過剰トレーニングは害毒でしかないと決めつけている僕につきつけられた人体の可能性・・これを見ると、もっと親指を使っても大丈夫だよね！もっと押そうっと！って思えるなぁ～嬉しい！　
この中村さんの角材斬り（←折りとか割りじゃないのだ）は８７歳を過ぎた時点でも更に鋭さを増して、著者の目の前で実演されたという。専門家がハッキリ言ってるが、科学的には絶対にあり得ないことらしい。う～ん、どうなってんだ？人体？

更に、大阪でヤリ手ビジネスマンと格闘家とを両立している宇城さん。お弟子さんにも決して再現できない「ゼロの力」と呼ばれるもので、腕相撲や組手で、絶対にあり得ない勝ちを収めるのだという。まあ、詳細は記述が面倒なんで読んでもらいたいんだけど、普通では考えられない状態で、普通では考えられないパワーが出るのだ、物理的なパワーだよ？気とかじゃなくて。
で、ここからが大事なところなんだけど、フツウはすごいトレーニング、例えばウェイトとかをやるのが一般的なパワーを得る方法だけど、この先生は「ウェイトは害悪」と言いきるわけだ。じゃあ、何をやるかと言うと・・。
驚くんだけど、「型」だけを延々と地獄のようにやる！んだって。この型を徹底的に、本当に徹底的にやることによってしか「ゼロの力」は身につかない、のだとか。型・・著者が考察してるように、過去から連綿と練られつづけてきた型、その動きには、それ自体に何か先人達のパワーが宿るのかも知れない・・と言う意味の事が僕の心に深くつき刺さった。
そう、思い当たる事があるんだよねぇ・・言えないけど。

まあ、そういうわけで非常にオススメの本でした！やっぱり極めている人が書いた本ってのは、別の分野の人が見てもびっくりするようなヒントで満ちているものよ・・。そうか・・！　久々に興奮したよ！　余裕があったらぜひ読まれよ！

あと、もう一冊の格闘士列伝ってのは、著者の半生を非常に楽しく読めるものだけど、やっぱり達人列伝にはかなわないなぁ・・。見所は太気拳の道場主にボッコボコにされる話と、特撮ヒーローものにも出ていた例の忍者じいさんの話・・ホンモノだったのか・・！　あと、塩田剛三さんのお話・・身震いするよ、きっと。ま、二冊ともおすすめって事で。板垣恵介、やっぱりすげー人だ。

ああ、あとね。ＵＦＷの話はショックだった。ラストの板垣さんの「腰が抜けるほどの衝撃的な事実、想像も及ばないような真実ってのに出会いたいんだ、信じたいから疑うんだ」という意味あいの独白は・・僕もそうだから泣けたなぁ～・・そうなんだよなぁ、不思議なものに魅了されるのは、その信じられないような事実に問答無用に組み臥せられて、メッタメタに打ちのめされてみたい！と言う欲求から来てるんだよ。